その100㎡は本当に大丈夫?厳密に100平米の壁を考える

2014年_伏見稲荷大社
京都 伏見稲荷大社 Photo by Satoshi

ゲストハウスを開業するにあたり100平米の壁という話がよく出てきます。
簡単に言うと物件がホテルや旅館でない限りゲストハウスの延べ面積が100㎡を超えてると建物自体を工事しなきゃいけなくなるという話です。

NoBordersHostelも例外ではなくこの100平米の壁の問題を確認した上で許可申請を行っています。
今回は厳密に100平米の壁についてまとめます。

ゲストハウスを作る時は建築基準法も守らなければいけない

建物の用途

まず100平米の壁を理解する為には建築基準法の建物の用途と言うもの知らなければなりません。

建築計画のお知らせ(例)

建築計画のお知らせ(例)

建設現場で貼ってある看板に書いてあるこの部分ですね。
建築基準法で建物を作る際には用途を定めなくてはいけません。
また、保健所で旅館業法を申請する際は建物の用途が「ホテル、または旅館」でないといけません。

そして何故この用途があるのかというと都市計画でその地域に建てられるものを決めているからなんです。
日本では用途地域と言うものがあり建築物用途制限がかかっています。
つまりこの地域ではこの用途の建物は建てられませんってのが決まってるんです。
例えば小学校や幼稚園の近くにラブホテルが建ったらそれは嫌な町並みです。
そういうのを用途地域で定めているわけです。

知り合いのオーナーいわく特に港区は建てられる用途地域が少なくて作りづらいそうです。(それ以外に家賃も高いと言う話でしたが)
場所によっては物件を見つけても用途地域でNGと言うこともあるようですね。

ちなみに用途地域および用途地域の建築物制限は各自治体のHPなどで確認できます。

品川区 わかりやすい建築のてびき > 用途地域 ※品川区の場合
http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/hp/page000001500/hpg000001453.htm
東京都都市整備局 用途地域による建築物の用途制限の概要(PDF)
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kanko/area_ree/youto_seigen.pdf

用途地域による建築物の用途制限の概要(PDF)

なぜ100㎡以内だとよいのか

先程建物の用途を「ホテル、または旅館」変更しないといけないと書きましたが、建物を用途変更する場合は確認申請(建築確認)が必要です。
確認申請をする場合、現行の建築基準法等に適合させなければいけなくなり、これが偉く大変なのです。(個人乗り越えるのは到底無理です)
用途変更に関してはこちらのサイトさんがわかりやすく詳しいです。

建築再構企画 確認申請とは?(4)-用途変更の場合の確認申請-
http://kenchiku-saikou-kikaku.com/architect-stories/kakuninshinsei4.html

しかし、この法律にも特別ルールがあり

特殊建築物かつその変更後の面積が100㎡を超える場合には確認申請が必要
→100㎡以下であれば確認申請は不要

となっているのです。
昔は家の一階部分で商業を営む方も多かった背景からでしょうか。

ちなみにこの用途変更、ゲストハウスとしての用途面積が100㎡以下であれば問題ありません。
もし120㎡の建物であれば、20㎡分用途変更しない形で自治体の建築課が承知できればOKです。
つまり用途が異なる100㎡以上の物件でも用途として使用する面積が100㎡以下であれば工事費用がかなり現実的な額でゲストハウス運用ができる事になります。
これが100㎡以下である事が良いといわれる理由ですね。

蛇足ですが、以前100平米以下の用途変更をしたいと建築科に行った事があるのですが、そもそも受付出来ないよと受付のお姉さんに言われました。(ノд=)

ゲストハウス部分が100平米未満でも違法状態になる事がある

この100㎡以下であれば確認申請は不要についてですが、建物に他のテナントが入っている場合はOKとは言い切れません。
その建物の第一号用途(特殊建築物となる用途)が合計で100平米を超えた場合は確認申請をしなければなりません。
例えば4階建てのアパートで既に1階にカフェなどの飲食店がある建物の二階にゲストハウスを作りたい場合。
アパートは基本的に用途は共同住宅で登録されていて、カフェを100平米未満の飲食店として用途変更し運営しているという事がありえます。
しかし、一階のカフェが50㎡、2階のゲストハウスが80㎡のだとすると建物全体で100㎡を超えているので、確認申請をしなければいけません。
ちなみにこれらを建築基準法を遵守していなかった場合、建物全体で営業停止もありえるそうで…。
必ず自治体の建築課か建築士さんに相談した方がいいです。

うちの場合、保健所に申請書類を提出する準備の段階で、品川区役所の建築科に該当部分の面積が100㎡以下である事を確認してもらいました。
一階部分のみだった為、面積の計算がしやすく建築科の方のチェックだけで済みましたが、
「もし面積の測定が複数階に渡る場合は建築士さんに測定してもらってください。」
と役所の建築科で言われました。
ちなみに物件の用途は、建築確認申請受付簿の台帳記載事項証明を自治体の建築科でもらう事で確認できます。
用途が不明な場合は大家さんか不動産屋さんにお願いするといいと思います。

わからなかったり不安な場合は建築科か建築士さんに相談を

自治体の建築科の方とお話していると「建築士さんに確認してもらってください」とよく言われます。
建築基準法に関しては建築士の方がプロフェッショナルであり、建築士さんの判断に任せている部分がかなりあるように感じました。
不安な事項がある場合は自分で判断する事なく、必ず相談しにいく事を勧めます。

※この記事は、自分が建築士の方や品川区の建築科に相談した経験を元に執筆しておりますが、誤っていたり誤解している可能性があります。
また地方自治体によっても判断や基準が違う場合がありますので、必ず自治体の建築科および建築士の方に相談する事をおすすめします。

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